現在、市内笹原の道金林遺跡で発掘調査を実施しています。

この遺跡からは縄文時代から近世までの遺構が確認されていますが、今回は縄文時代の落とし穴を紹介します。

上の写真は見つかった落とし穴です。南北方向に長く2m以上ありますが、幅は50cm程度しかありません。そのため底面まで掘ることが難しいことから、写真手前側を半分広く深く掘り、落とし穴の底まで掘った状況のものです。深さは1m以上あり、人間が出入りするにも苦労するくらいです。

今回の調査では1基のみ確認されました。

 

こちらの写真も落とし穴です。隅丸の方形で大きさが約1.5×1m、深さが1m以上あります。よく見ると底面の中央に小さな穴がありますが、獲物に致命傷を与えるために尖った杭を立てていた跡と考えられます。

こちらはほぼ等間隔で一直線上に並んで4基確認されました。

落とし穴は通常列をなして多数設置されることから、今回の調査で見つかったものはその列の一部と考えられます。

 

発掘調査をしていて感じたのは、縄文時代の人々がこれだけの穴を掘るのはさぞ大変だったろうということです。発掘調査では移植ゴテを使って掘りますが、土が硬いため、手が痛くなったり移植ゴテが曲がったりすることもあります。鉄製品を使った現代でも大変な作業を、縄文人は石器等で掘り上げたと考えると、その意志と努力は大変なものであったと想像することができます。